「……。あー!わかるわかる!ちょーわかる〜!長文とか読んでると眠くなるよなー……ってオイ!!んなことあるか!?」



華麗なノリツッコミが決まった厚木くんに、苦笑いの私達。


はるくん、絶対ゲームで夜更かししちゃったんだろうなぁ。


この余裕たっぷりな性格は、小さい頃から何も変わっていない。



「ま、まぁ取り敢えず、尾上は教えなくても大丈夫ってことだよな。教えなきゃならない俺達からしたら好都合だね。蒔田さん」


「う、うん!そうだね!わかりやすく教えられるよう私も頑張るので、みなさんどうぞよろしくお願いします!」


「ははっ!蒔田さん、教える側なのにすごい律儀」



机に頭がつきそうなほど勢いよく頭を下げれば、八木くん達にクスクスと笑われてしまった。



「蒔田さんて、思ってたよりずっと面白い人だよね」


「え!?そ、そうかな……?」



だけど、ただ一人。


はるくんだけは、そんな私と八木くんのやり取りを頬杖をつきながらじっと見つめていた。










補習はかなり難航を極めたものの、思いのほかみんな理解が早くて助かった。


八木くんとは違い、下手くそな私の説明をみんな文句一つ言わず聞いてくれて。


教えているうちに、いつの間にか私の緊張も和らいでいた。