「お前ら。授業中何やってたわけ?」


「いつも寝てばっかの悠斗に言われたくないんですけどー!!」


「あんただって補習受けてるくせに、何偉そうなこと言ってんのよ」



はるくんを攻める厚木くんと古賀さん。


珍しく息がピッタリだ。


そっか……。二人は知らないんだよね。



「……あ、でも、尾上くんて、現代文以外は全部90点以上でしたよね?」


「「……は?」」



井田さんの言葉に、厚木くんと古賀さんが同時に声を漏らす。



「わ、私、一番前の席なので、たまたま見えちゃったんですけど……。ほとんどの教科が90点以上で、数学に関しては100点だったような……」


厚木くんと古賀さんは“そんなバカな”と言わんばかりに、今度こそ絶句してしまった。



そう。


はるくんは、こう見えて実はとっても頭がいい。


例え授業中に居眠りをしていようが、テスト期間中にゲームに没頭していようが、毎回テストは高得点。


いわゆる、天才肌というやつだ。


そんなはるくんが、赤点なんかとってしまったということは、きっと……。



「ちょ、ちょっと待てよ?じゃあ、悠斗は何で俺らと一緒に補習なんか受けてるわけ?」


「寝てた」


「……はい?」


「寝てて、気がついたら現代文のテストが終わってた」