蒸し暑さが日に日に増す、6月も後半。
私を含むほとんどの生徒が夏服に変わって、いよいよ夏目前といった感じだ。
だけどこの時期、私達学生はちょっとだけ忙しくなる。
「期末テストに向けた補習ですか?」
「そうなんだよ。中間テストで赤点叩き出したヤツらを集めてな」
その日。
担任の大津先生に呼び出された私は、職員室を訪れていた。
そこで先生は、私に補習者リストと書かれた紙をため息混じりに差し出してくる。
「どうだ。このメンツ、見覚えないか?」
「ええと……」
それを受け取り名前を確認すると……。
あれ?
これって……。
そこに明記されていたのは、見覚えのある名前ばかり。
厚木翔吾。
井田雪子。
尾上悠斗。
古賀みずき。
「こ、これって……八木くんがいないだけで、他はみんな学年レクの時のメンバーですよね?」
「ピンポーン。正解。な?すごい偶然もあるもんだろ?」
先生は自身のデスクに頬杖をつき、呆れた様子で苦笑する。
学年レクの時といい、とんだお騒がせメンバーだと思われてるのだろう。
「つーわけで、折り入って蒔田に頼みがあるんだ」