面倒くさいヤツって思ってるよね。


いいもん。それでも。


別に感謝されたくて、ここにいるわけじゃない。


私は、はるくんが元気になってくれればそれでいいんだもん。



そう言い聞かせていると、頭の上にふわり重みが落ちてくる。



「……ありがとね」



柔らかく微笑みながら私の頭をなでるはるくん。


その手はすごく優しくて……。


胸の奥がジンと熱くなる。



頬を染めてうつむくと、はるくんは私の頭をなでながら言葉を続けた。



「結衣が頼りないとか、そんなんじゃないから」


「え?」


「かっこ悪いなって思っただけ。結衣が風邪引かないか心配しておいて、俺が引いてるし」


「……っそれは、昨日はるくんが私を庇っていっぱい雨に濡れたから……!」


「まぁ、結衣が風邪引くより、ずっとよかったけどね」



そう言って目を細めるはるくんに胸がきゅうっと苦しくなる。



どうしてはるくんは、こんなにも優しいんだろう?


これが他の人であっても、はるくんは同じことを言うの?


それともこれは、私だから言ってくれるの?



私だからなら……いいな。


この先もずっと。


はるくんの優しさは、私だけに向けられるものならいいのにな。




はるくんの瞳がまっすぐ私を捉える。