【おふくろは、ばあちゃんちに行ってて明日の昼まで帰ってこない】


【そうなの!?】


【でも別に大丈夫だから。いくつだと思ってんの?】



熱の辛さに歳なんて関係あるもんか。


はるくん、ご飯はどうしたんだろう?


水分はちゃんと取ってるのかな?


どうしよう……。


やっぱり、どうしようもなく心配だ。



“時には、相手に遠慮しないでとった行動の方が────”



ふと、古賀さんに言われたさっきの言葉を思い出す。


ここは思いのままに動いていいところなのかな?


ううん。


こんなの、動くなって言われても無理な話だよ……。



「古賀さんっ!!」



古賀さんはもうすでに何かを悟ったようで、じっと私に視線を向ける。



「私、はるくんのところに行ってくる!!!」



私がそう言うと、古賀さんは「はいはい。行ってらっさい」と言ってヒラヒラ手を振りながら、教室の方に歩いていってしまった。


その時チラリと古賀さんの横顔が見えた。


古賀さんの口元は、心なしか弧を描いている気がした。














マンションについた時には、遠くの空がほんのり赤らみ始めていた。


どこかの家の換気扇からは煮物を煮込んでいるような香りが漂ってくる。