帰りのホームルームが終わると、私は待ってましたとばかりに立ち上がり、慌ただしく教室を出た。



「うわっ!」



まだ帰る人がまばらな廊下を一目散に駆けていたせいで、曲がり角を曲がってきた人に気づかずぶつかりそうになる。


その拍子に、慌てていたせいで開けっ放しだったスクールバックが肩から滑り落ち、中身をぶちまけてしまった。



「ご、ごめんなさい!!」



わ〜!もう!


私っていつもこう!



ぶつかってしまった人に急いで頭を下げ、散らばった物を拾うためその場に屈み込む。



「あっぶないなぁ。何をそんなに慌ててるわけ?」



と、頭上から降ってくる聞き覚えのある声に弾かれたように顔を上げると。



「古賀さん!」



古賀さんが怪訝な顔で私を見下ろしていた。



「古賀さん、帰りのホームルームは……」


「保健室でさぼってたら寝過ごした」



堂々とさぼってました宣言をすると古賀さんは、廊下に散らばった教科書を拾い上げ、私に「ん」と差し出した。



「あ、ありがとう……」


「で?何をそんなに急いでるわけ?」


「えっと……」


「尾上のとこでも行くの?」



いきなり核心をついてくる古賀さんの言葉に、つい小さく肩を揺らしてしまう。