「もっしもーし!はよっす悠斗!元気?風邪大丈夫かー?……え?あーあれね!あはは!悠斗驚くかなーと思って!……え?ちょっいや、お前が既読スルーするから……。や……えと……はい。ごめんなさい……。はい……もう二度としません。ごめんなさい。はい。今かわります」
「蒔田さん。悠斗がかわってって……」と弱々しい声で私にスマホを手渡す厚木くん。
「はるくん……?」
厚木くんてば、涙目で震えているけどどうしたんだろう?
スマホを受け取り、恐る恐る耳に当てると。
「も、もしもし?」
『バカ結衣。何やらされてんの』
「……っはるくん!大丈夫!?熱出ちゃったって本当!?具合は!?」
はるくんの声を聞いた途端、心配な気持ちが爆発してしまって、ついはるくんを問いただしてしまう。
すると、電話の向こうのはるくんが、クスリと息を漏らした。
『落ち着いて。全然大丈夫だから。ただの微熱だし。そんな大したことない』
「ほ、本当……?」
『うん』
電話越しのはるくんの声は鼻声で、やっぱりいつもより怠そうな声で。
滅多に風邪を引かない分、本当は辛いに決まってるのに、はるくんは私に心配かけまいとしているのは明らかで。



