今日は少し雲がかかっていて残念だけど、晴れている日にはもっとずっと向こうの方まで見えるんだろう。
天気が良ければ富士山も見えるかな?
あ!あっちは確か海だったはず!
「……」
「……」
って。
はしゃいでる場合じゃなかった!!
「こ、古賀さん!屋上って入っちゃダメなんだよね?一体どうやって……」
「ここのカギ壊れてるから、ちょっとコツ掴めば簡単に開くようになってんの」
「え!?そ、そうなの!?」
し、知らなかった……。
というか、なぜ古賀さんはそんなことを知っているのか。
「たまーに、何もかも嫌になった時、よくここに来るんだ」
「何も、かも……?」
古賀さんは、何もかも嫌になることがあるのだろうか?
いつだって強くて真っ直ぐで自信があって。
物事に動じず凛とした佇まいの古賀さん。
そんな古賀さんでも心のどこかに、時々何もかもが嫌になってしまうような弱い部分があるの?
何だかちょっと信じられない。
弱い部分ばかりしかない私には、古賀さんは完璧な人にさえ見えるから……。
「てか、私のことはどうでもいいから」
「え?」
古賀さんは私に向き直ると眉をつり上げ、私の前にビシッと人差し指を突きつける。



