「古賀さん。今からお昼?売店のパンまだたくさんあった?私も買いに行かなくちゃ」



笑顔を貼り付け、席から立ち上がる。



「あんたのそういうとこ、本当イライラする」



お財布を取ろうとカバンの中を漁っていたら、そんな声が落ちてきて。


恐る恐る古賀さんを見上げれば、何だか怒っている様子。



「余裕って顔してさ。本当は内心、尾上がいつ誰に取られるか不安で仕方ないくせに」


「……そんなこと、ないよ?」



そんなことない。


大丈夫。


例えはるくんが、誰かを選んでしまってもそれでいいって思ってる。


私は、はるくんの選択を応援する。


ちゃんと出来る。


だから、大丈夫。



私は、古賀さんにもう一度笑顔を向けると、お財布を探すのを再開した。


だけど……。



────ガシッ!



「え!?こ、古賀さ……」



腕を掴まれ、ずるずると引きずられるように引っ張られる私。


そのまま私は古賀さんに連れられ、教室を後にした。










古賀さんがようやく私の腕を解放してくれたのは、いつも封鎖されている屋上に着いた時だ。



わぁ!屋上ってこんなふうになってたんだ!


思っていたよりずっと見晴らしが良くて気持ちいい。