「付き合って、もらえませんか?」
急いで、駐輪場に置かれた物置の陰に隠れる私。
口に手を当て息を潜める。
はるくんすごいな……。
今月に入って、もう何度目の告白だろう?
高校に入学してからのはるくんの人気は、中学の時よりも更に増している気がする。
昨日より今日。今日より明日。
はるくんはどんどん大人っぽくなって、どんどん格好良くなっていっているから、当然と言えば当然のことなのだろう。
いい加減、慣れなくちゃいけないのはわかってる。
けれど、やっぱりまだどうしても、動揺してしまう自分がいる。
“はるくん。ごめんなさい”なんて心の中で謝りながらも、どうしても気になってしまって、物置の陰からはるくん達の様子をこっそりと覗き見た。
……あれは確か、4組の飯倉さんだ。
私達の学年で一番可愛いって、前に男の子達が噂しているのを聞いたことがある。
頬を染め、震える手で柔らかそうなブラウンの髪の毛を耳にかけるその仕草は、同性の私でもキュンとしてしまう愛らしさで。
あぁ……。
なんてはるくんの隣がよく似合う人なんだろう。
そんなことを思ってしまった。



