ねぇ、お母さん?


何でお母さんは、そんなにはるくんやはるくんのお母さんを毛嫌いしているの?



その言葉が喉まで出かかって。


だけど、直ぐに飲み込んだ。



「うん。大丈夫。ちゃんと、わかってるよ。お母さんが心配しているようなことは何もないから安心して?」



お母さんごめんね。


もうこれは何度目の嘘だろう?


嘘つきな娘で、本当に……本当にごめんなさい。



でも、お願い。


もう、これ以上多くは望まないから。


はるくんとの未来なんて望まないから。



だからお願い、今だけは。


彼の側にいさせてください。




まだ何か言いたそうに、唇を動かしたお母さんを置いて、私はリビングを後にした。
















「尾上くん!ずっと前から好きでした!!」



私って、どうしてこうもタイミングが悪いんだろう……。




その日の昼休み。


いつも通り裏庭で過ごした私は、5時間目の移動教室の準備をしなくてはと、いつもより早く裏庭を出た。


裏庭から教室に戻るには、校舎脇の駐輪場を通って昇降口に回り、上履きに履き替える必要がある。


予鈴まで後10分。


少し小走りで昇降口へと向かっていたら、人気のない駐輪場の入口付近で、はるくんが告白されている現場に出くわしてしまった。