アルフレッドはにやっと何かを企んでいるかのように笑い、しいっと人差し指を自分の唇に当てる。
「アウレディオには言わないでくれよ。あくまでも俺の付き添いってことで話してるんだからな」

コクコクと頷くエミリアに、それでよしとばかりに大真面目な顔で、アルフレッドは頷いた。
「あいつ、庭師見習いをやってるんだって? 騎士団補講の模擬試合では優勝したってのに? どうして?」

エミリアはすぐにアルフレッドに返事ができなかった。

それについてはアウレディオ本人に聞いてみたこともあるが、
『小さな頃から庭師になりたかったから。それが俺の夢だから。お前だって知ってるだろ?』
とあっさりと答えられた。

そのよどみなさにかえって不自然さを感じながらも、エミリアにはそれ以上追求することは、やっぱりできなかった。

「わからない」
力なく首をふるエミリアの栗色の頭を、アルフレッドはポンと叩いた。

「悪い。気にするな。エミリアを責めてるわけじゃないんだ。わからないんだったら……俺が今日本音を引き出してみせるから」
頼りがいのある笑顔を向けられ、エミリアの心はふっと軽くなった。