「昨日はごめんな。突然変な話しちゃったな」

照れたような恥ずかしいようなアルフレッドの声に、エミリアは慌てて彼の顔をふり仰ぐ。

「ひさしぶりに会ったのに、いきなりあんな重い話から始めることはなかったよな……一人になってからちょっと反省した。ひさしぶりに会ったエミリアが思ってた以上に綺麗になってて、ほんと言うと再会してからずっと、俺はいっぱいいっぱいなんだ……」

「アルが?」
照れ隠しも兼ねて笑いながら言い放ったエミリアを、アルフレッドは同じように笑いながら捕まえようとする。

「そう、この俺が! 小さな頃から知ってる近所の女の子に翻弄されっぱなし!」
「翻弄なんてしてないわよ」
「俺が勝手にされてるんだよ」

優しく手首を掴まれて引き寄せられても、エミリアはまったく嫌な気持ちがしなかった。
アルフレッドの腕の中、すっぽりと抱きしめられていると安心感さえ覚える。
それなのに――。 

「アウレディオに感謝しなくちゃな。あいつが『帰ってきたいんだったら帰ってくればいい』ってあと押ししてくれたから、またリンデンに帰ってこれたんだし、それでまたエミリアにも会えたんだし……」

アウレディオの名前が出てくると、思わずこの場所から逃げだしたくなるほどに、体が過剰反応する。
どうにも居心地が悪くて、アルフレッドの腕の中から抜けだしたくなる。

エミリアはどうやら、アルフレッドの口からアウレディオの名前が出てくるのが、好ましくないらしい。