カランカランと鳴った玄関扉の鐘に、
「あっ、私が出てみるから」
と母を制して立ち上がる。

立っていたのはアルフレッドだった。

「よう。これから新しい仕事の選抜試験に行くんだ。途中まで同じ道だから、久しぶりに一緒に行かないかなって思ったんだけど……どう? 行くか?」

いつもどおりの明るい笑顔に、エミリアはどこかホッとして、嬉々として頷いたが、アルフレッドの背後を確認してみることも忘れはしなかった。

「……ディオは?」
「ああ。今日は行く先が一緒だからって誘ったんだけどふられた。一人で先に行くってさ」

アルフレッドの返事が思いのほか胸に刺さって、エミリアはそんな自分にびっくりする。

(どうして私とアルと一緒は嫌なのよ、ディオ……)

自分でもよくわからない感情を怒りに置き換えながら、エミリアはアルフレッドと共に、家を出た。