すぐに部屋から出てきたアウレディオに、どうだったのかを尋ねなくても、答えはあらかじめわかっていたような気がした。
アウレディオもランドルフの時とは違って、実にあっさりと、
「フェルナンド様は違った」
と教えてくれる。
(やっぱりね)
ホッとする気持ちと、
(ああ……これでもうフェルナンド王子とランドルフとの接点もなくなったのか……)
と寂しく思う気持ち半分で、エミリアは少し切なくなる。
すっかり暗くなった家までの帰り道を、久しぶりにアウレディオと二人で歩きながら、エミリアはこれまでの怒涛のような数日間を思い出していた。
「もうお城に行くこともないんだよねえ……」
それについて、思うことはたくさんあるのに、アウレディオが「ああ」とか、「そうだな」という生返事しかしないので、途中で口を噤む。
(明日仕事場に行ってから、フィオナと話そう。フィオナだって自分の観点からしか話をしてくれないけど、きっとディオよりはましだわ……)
こっそり心の中だけで誓ったつもりだったのに、ふいにアウレディオが立ち止まり、エミリアは慌てた。
「え、何? 私、何も言ってないよ?」
坂の途中で置いてきぼりにした形になってしまったアウレディオを、エミリアは急いでふり返った。
アウレディオは黙ったまま、左手に見えてきた自分の邸の庭園をじっと見つめている。
月明かりの中、咲き誇る薔薇に囲まれて、そこに佇んでいたのはエミリアの母だった。
アウレディオもランドルフの時とは違って、実にあっさりと、
「フェルナンド様は違った」
と教えてくれる。
(やっぱりね)
ホッとする気持ちと、
(ああ……これでもうフェルナンド王子とランドルフとの接点もなくなったのか……)
と寂しく思う気持ち半分で、エミリアは少し切なくなる。
すっかり暗くなった家までの帰り道を、久しぶりにアウレディオと二人で歩きながら、エミリアはこれまでの怒涛のような数日間を思い出していた。
「もうお城に行くこともないんだよねえ……」
それについて、思うことはたくさんあるのに、アウレディオが「ああ」とか、「そうだな」という生返事しかしないので、途中で口を噤む。
(明日仕事場に行ってから、フィオナと話そう。フィオナだって自分の観点からしか話をしてくれないけど、きっとディオよりはましだわ……)
こっそり心の中だけで誓ったつもりだったのに、ふいにアウレディオが立ち止まり、エミリアは慌てた。
「え、何? 私、何も言ってないよ?」
坂の途中で置いてきぼりにした形になってしまったアウレディオを、エミリアは急いでふり返った。
アウレディオは黙ったまま、左手に見えてきた自分の邸の庭園をじっと見つめている。
月明かりの中、咲き誇る薔薇に囲まれて、そこに佇んでいたのはエミリアの母だった。
