替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする

「さっきの奴……
食料をほしがってたが、出られなくなって、迷ってるのかな?」

「きっと、そうだろうな。」

「そんなことなら、あんなことをせずに素直に食料を分けてくれって言えば良いのにな。」

「そうだよな。」



さっきの人は、もしかしたら、私が思うよりも長く、ここにいるのかもしれない。
ひとりで森の中を彷徨って…しかも、食料もなくなってきたんじゃ、そりゃあ心細いよね。
でも、だからといって、許せるってことではないけれど…



「今夜は大丈夫だと思うけど…
とりあえず、俺が見張りをしてるから、あんたたちは寝てくれ。」

「いや、私が起きてるよ。
君は眠った方が良い。」

「あんたは怪我をしてるじゃないか。」

「そんなたいした怪我じゃない!」



二人共、なかなか折れなくて…
結局、二人共、起きてることになった。



じゃあ、私も起きてようと思ったのだけど、明日に備えて眠るようにって、二人から言われて…
仕方なく、私は眠ることになった。