替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする





「ここまで来たら、まず大丈夫だろう。」



私達は、町を離れ山を登った。
町では追っ手らしき奴らにも会わなかったし、それほど険しい山じゃないのが幸いだった。
山には不慣れな私でも、なんとかついていける程度の山だった。
登っている間にあたりは暗くなった。
マリウスさんの話によると、このあたりに危険な猛獣などはいないらしいけど、それでもやっぱり怖い。
山で夜を明かすことなんて初めてだから。



「すまないな、私のせいで…」

沈んだ声でフェルナンさんが呟く。



「そんなこと気にすんな。
でも……なんで追われてるんだ?」

「それは私にもわからない。
奴らが何者で、なぜ私を追うのか…まるでわからないんだ。」

「そうか…」



皆、黙ってしまい、焚き火の薪のはぜる音だけが、ぱちぱちと響いた。



フェルナンさんは、傍目にも酷く落ち込んでいる。
そりゃあ、いやだよね…
追われる理由もわからないんだから…
それに、やっとふりきったと思ってたのに、奴らはまだ追いかけてたんだから。



フェルナンさんのことだから、そのことで私やマリウスさんに迷惑をかけたと感じてるのかもしれない。
確かに怖い想いはしたけど、迷惑だなんて思っていない。
それは、多分、マリウスさんも同じだと思うのだけど…