替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする

「……キ……サキ……!」

「え?」

「どうかしたのか?ぼんやりして…」

「え?い、いえ…何も…
あ……ちょっと疲れたのかも……」

私は、愛想笑いで誤魔化した。



「もう少しでクローブの国だ。
今日中にはクローブに入れるだろう。」



マリウスさんの言う通りだった。
夕方近くには、クローブの国に入れた。
ガザンとクローブの間には、関所みたいなところがあった。
ただ、名前と年を言うだけで通してもらえた。
マリウスさんの話によれば、特に怪しい者でない限りは簡単に通してもらえるらしい。
クローブは、ガザンにいる柄の悪い者たちを国に入れたくないみたいだ。
関所を過ぎ、そこからまたしばらく南下して、私達はココラスの町に着いた。



「腹が減っただろう?とりあえず、何か食べよう。」



薄暗くなったせいか、通りで開いてる店はまばらだったけど、人はまだ多かった。



「ここは店も多そうだな。
明日の朝、必要なものを買って行こう。」

「ここなら宿屋も何軒かありそうだな。」

他愛ない話をしながら、私はココラスの通りを歩いていた。
そのうち、急にフェルナンさんが立ち止まり…



「サキ、マリウス……
この道をまっすぐ走るぞ…」

フェルナンさんの緊迫した口調に、私はピンと来た。
きっと、奴らだ。
フェルナンさんを追う奴らが、また現れたんだ、と…



「どういうことなんだ?」

「話は後だ。
いいか、行くぞ!」

「あ、あぁ…」

私達はその場から一目散に駆け出した。