替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする

「で、でも…私が王族や貴族だなんて信じられないし…多分、庶民だと思うんです。」

「しかし、その腕輪はとても庶民が持つようなもんじゃない。
それはどうしたんだ?
記憶はあるのか?」

「い、いえ…知らないうちに、つけてました。」

「じゃあ、やっぱり、あんたは普通の者じゃないな。
あ…もしかしたら、おばあさんなら知ってたかもしれない。
訊いてみれば良かったな。」

「そ、そうですね…」



おばあさんだけじゃなくて、マリウスさんまでがそんなことを言う…



私が王族?貴族…?
そんなこと、どう考えても信じられないし、信じたくもない。



「あの、マリウスさん……」

「なんだ?」

「ガザン王家の血を引いてるって言われた時…どんな気分がしましたか?」

「どんなって…そうだな。
最初は全然信じられなかった。
なんでおふくろがそんなことを言い遺したのかは気にはなったが、そのうち頭の片隅に追いやられていった。
……そんな時、たまたま酒場で聞いたんだ。
ガザン王の剣の話を…
そしたら、やっぱり確かめたくなった。
俺が本当にガザン王家の末裔なのかどうなのか。
その想いは日々強くなり、いつしか俺の心を埋め尽くすようになってたんだ。」

マリウスさんのその言葉には、とても熱がこもっていた。