「前にも言うたが、こちらから異界へ送られた者は何人かいるようなのじゃが、異界からこちらへ来た者はとても少ないと聞く。
こちらに来たほとんどの者は、呼び戻された者のはずじゃ。
なにしろ、腕輪がないのではこちらに来ることは出来ないのじゃからな。」

「向こうからこちらに来ることは出来ないんですか?」

「あぁ、それは出来ないと聞いておる。」

「そうなんですか…
で、では、どうやって、呼び戻す者を特定するのですか?」

「それは、宝石じゃ。
門に、呼び戻したい者の腕輪に付いた宝石を装着するのじゃ。
おまえさんのその宝石…どちらも相当に高価な宝石のようじゃ。
それを見る限り、やはりおまえさんはどこぞの王族の者ではないかと思うのじゃが…」

またそんなことを…
私にはそれだけはどうしても信じられないのだけれど…



「あの…万一…万一、私が王族だったとして…
なぜ、私は異界に送られたのだと思われますか?」

「そりゃあ…おまえさんを守るためじゃろうな。」

「守る…?どういうことですか?
何から私を守るんですか?」

「そう言われても…わしにもその理由はわからんが…」

おばあさんは、困ったような顔でそう言った。