「王妃様、本当にようございましたね。
おめでとうございます。」

ヒルダの言葉に、私はなんと返せば良いのかわからなかった。



「ヒルダ…本当にこれで良かったのだろうか?」

「もちろんです。
こうなることが、運命だったのです。」



私は、この国を滅ぼそうと思っていたのに、まさかあの者がそれを救うことになろうとは…
何と皮肉なことだろう…



今でも、私には信じられないような気がする。



先日、ヒルダがここで話したこと…
それは、とても衝撃的な話だった。







「マグダナ様、王子様が生きてらっしゃいます。」

「王子?どこの王子だ?」

「マグダナ様がお産みになられたあの王子様でございます。」



その言葉を聞いた瞬間、私は20数年前のある事実を思い出した。
背筋に冷たい汗が走った。



私はある時、体調が悪いので静養に行くと言い、ヴァリアンの別荘に戻った。
それがただの体調不良ではないことは、私にはわかっていた。



当時から、私は子の出来ない薬を飲んでいたにも関わらず、子が宿ってしまったのだ。
私は何とかその子が流れるようにとあれこれ手を尽くしたが、その子はとてもしぶとかった。



父親は、国王だと思った。
実は、その当時、私はシルヴェールと会う機会があり、間違いを犯した。
しかし、それはたった一度のこと。
彼の子である道理がない。
いや、たとえそうであろうと、そんなことは関係がない。
私は、決して子を産んではいけないのだから。



私が産んだ子供は王子だった。
リゴレットを滅ぼそうと思っていたのに、王子を産んでしまった…
私はそんな自分自身に激しい憎しみを募らせた。