月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

その安心しての意味が分からないよ。

私はぶつぶつ言いながら、また体を横にした。

「ハーキムさんは、まだ寝ないんですか?」

「そうだな。ジャラール様が起きてからだ。」

「ジャラールさんは、いつも何時くらいに起きるの?」

「何時?決まっていないが、大抵夜明けの少し前だ。」

夜明けの少し前。

なんともアバウトな答えだ。


「じゃあ、ジャラールさんが、その時間に起きなかったら?」

「うるさい女だ。黙って寝ていろ。」

ま〜た答えたくない質問がくると、不機嫌だよ。

唇を尖らせながら、私は目を閉じた。


でも眠りたくない。

もし寝てしまって、また現実の世界に戻されて、ジャラールさん達と会えなくなったら、それこそ嫌だ。


眠りたくない。

眠りたくない。

声に出さずに、呟いた。


しばらくして、横でムクッと起き上がる音がする。

「ハーキム。交代しよう。」

「はい。」