「待ってよ!」

ときわも急いで、後を追ってくる。

「いいじゃんいいじゃん。イケメンが相手なんて。」

「そうかな。」

いくらイケメンに恋したって、相手には好きな人がいる。

「で?あとどのくらい会えそうなの?」

私は、歩みを止めた。

「どのくらい?」

「うん。だって物語りの中の人なんでしょ?物語りには終わりがあるじゃん?」


頭の中は真っ白。

私は、そんな肝心な事まで、忘れていたのだ。


「今、物語りのどの辺?」

「分からない。アラビア語で書かれているから。」

私はすぐ浴衣を着て、髪を乾かす。

「ん〜アラビア語か。そう言えば光清の知り合いにアラビア人がいたような。」

「らしいね。」

「らしいねって?」

「光清、図書室からその本借りて、知り合いに翻訳して貰ったみたい。」

するとときわは、私の腕を掴んだ。

「紅葉。光清のとこ、行こう。」

私はそのまま、ときわに連れて行かれた。