「しかし‼ジャラール様まで砂の中に沈んだら、ネシャート様はどうするんですか!!」

するとジャラールさんは、片手をジャラールさんの腕から離すと、腰に差していた短剣を取り出した。

「ネシャートも、おまえも私が助ける‼」

そう叫んだジャラールさんは、砂の中から現れた石の脇に、その短剣を突き刺した。

それがうまく引っ掛かって、二人の体は止まった。


「ハーキム!そのまま駆け上がれ!」

「ジャラール様……」

「早くするんだ!」

ハーキムさんは思いきって、ジャラールさんの腕を両手で持ち、上へ駆け上がった。

ハーキムさんの体が、ジャラールさんよりも上の場所へ来た。

「ハーキムさん!!」

私が手を伸ばすけれど、あと数㎝で足りない。

そのままハーキムさんは、砂に足を取られ、下へ引きずり込まれる。

「ハーキム!」

そしてまた、ジャラールさんの腕に掴まり、奈落の砂の世界へとぶら下がる。