月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

涙を拭こうとすると、ハーキムさんの手綱を握っている手に邪魔された。

「目に砂が入ったのなら、手でこするな。そのまま涙で流せ。」

私は涙声を聞かれたくなくて、大きくうなずいて見せた。


どれくらい走っただろう。

次第に砂嵐は、収まってきた。

「もう少しだ、クレハ。」

ハーキムさんの一言が、私を安心させてくれた。

だが砂嵐を丁度抜けた時だ。

「危ない!」

ハーキムさんの叫び声が聞こえたかと思うと、背中に温もりを感じなくなった。

ただ私を乗せたラクダが、走り続けている。

「ハーキムさん!?」

私が後ろを振り返ると、ラクダは徐々に止まってくれた。

シーンとする辺り。


どうしよう。

ハーキムさんもジャラールさんもいない。

私は不安に押し潰されそうになりながら、ハーキムさんと離れた場所へと、ラクダで移動した。

「ハーキムさん!?ジャラールさん!!」

そして、砂漠の稜線に二人の姿を見つけた。