月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

するとハーキムさんは、ジャラールさんの横につけた。

「迂回しましょう!」

「……迂回しても、今日中にオワシスまで行けるか?」

しばらくの沈黙の後、ハーキムさんは静かに答えた。

「難しいと思います。」

「この中を駆け抜けられる確率は?」

「……五分五分です。」

「十分だ‼」

するとジャラールさんは、尚一層速く走り始めた。


「ジャラールさん。そんなにも……」

するとハーキムさんの黒いマントが、私の視界を遮った。

「この中に隠れていろ!決して外に顔を出すなよ。」

「えっ?」

その瞬間、強い嵐が私達を襲う。

だんだん遅くなるラクダ。

マントの隙間から見る外には、大量の砂が舞っている。


恐い!

吹き飛ばさるのはもちろん、ジャラールさんを見失ったら?

ハーキムさんとはぐれたら?

今度こそ、私はこの砂漠の中で、生きていけないかもしれない。

人知れず涙が出た。