月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

私の背中にゾクッと、寒気が走った。

もしかしたら、ジャラールさんは殺される?

「ジャラールさんは、その事を知っているの?」

「ああ。承知で志願された。」


胸が張り裂けそうだった。

自分の命を犠牲にしてでも、守りたい人がいる。

それが、母親違いの妹?


それとも同じ一族の血を引く者?


「ジャラールさんは、ネシャートさんの事、好きなの?」

ハーキムさんは、黙ってしまった。

「ネシャートさんは、ジャラールさんの事、どう思っているの?」

やはり返事はない。


わかっているのは、この旅の結末が、あの本の最後に書いてあるイラストのように、二人が笑って終わると言う事だけだ。

だけどそれは、本当にハッピーエンドなのか。

それは、分からないけれど。



その時だ。

遠くにベージュ色の壁が見えた。

「砂嵐だ。」

ハーキムさんが、呟いた。