月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

私が勝手に砂漠の大恋愛に盛り上がっているのに、ハーキムさんは沈んでいる。

「だがアラブの絶世の美女を、他の国が見逃す事はなかった。」

「えっ?どういう事?」

「アラブでは、気に入った女を奪えば、自分の物にできる。アラブ諸国一の美姫を巡って争いが起こった。」


そんな!

結婚している人を奪うって‼

そんな事が許されるの!?


私は物語を読んでいる時のように、一人で地団駄を踏んでいた。

「しかし現王は強かった。妃を奪おうと向かって来た相手は、全て倒した。誰もアラブ諸国一の美姫を奪えなかった。」

ハーキムさんの語りが上手いせいか、私はすっかりジャラールさんの両親のラブストーリーに魅せられていた。


「ある日現王は、どうしても遠くの国へ、向かわねばならなかった。それでも三日間で帰ってくると約束した王は、お妃をこの宮殿に預けた。」

「へえ〜ここに。実家だもんね。」