月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

改めて周りを見たが、どう見たって白い壁しか見当たらない。

「ここに来る前に、昔は支配者の宮殿だったと、お前に教えただろう。」

「そうでした。」

私はおでこをペチっと叩いた。

ちらっとハーキムさんを見たけれど、また表情一つ変えない。

ときわや光清だったら、笑ってくれるのに。

プチホームシック。


そして、ちょっとした事に気づく。

「ここが宮殿だったって事は、ジャラールさんのお母さんもお姫様だったの?」

「ああ。母君様のお美しさは、アラブ諸国でも群を抜いていた。」

「だからジャラールさんは、美少年なのね。」

ハーキムさんは、うんと頷いた。


「ジャラール様の父君である現王がまだ、王子だった頃。たまたま訪れたこの宮殿で、母君と恋に落ちた。小国の姫君だったが、父君が前王を説得し、妃に迎えたのだ。」

「ひゃあ!何その大恋愛。」


砂漠の中での運命的な出会い!

しかも身分違いを乗り越えるなんて!