月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

「ジャラール様は、何か仰ってたか?」

急に聞こえてきた、ハーキムさんの声。

「えっ……」

無視することもできずに、それとなく起き上がる。

「何も話しては、おられなかったか。」


なぜ、そんな事聞くのかわからなかったけれど、たぶんハーキムさんは、ジャラールさんの事、心配しているんだと思う。

「えっと……星が綺麗だとか、月が綺麗だとかそんな話はしましたけど……」

「星?月?」

「はい。」

ハーキムさんは、しばらくした後、フッと笑みを浮かべた。


「そうか。少しでもジャラール様の気持ちが、癒されればよろしいのだが。」

癒される?

私は気になって、ハーキムさんの隣に陣取った。

「ジャラールさんは、星とか月が好きなんですか?」

「はははっ。」

静かに笑うハーキムさんは、ゆっくりと辺りを見回した。


「この場所は、ジャラール様の母君様の故郷なのだ。」

「お母さんの?ここが?」