月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

「そう。でも、無事に帰って来てよかった。」

「あ、うん、」

母親は、子供の事って、どこまで知ってるんだろう。

あんなに楽しみにしていたお土産を貰い損ねたと言うのに、そんなのお構い無しみたいに、足取り軽くキッチンへ戻って行く。

そして弟だけが、肩をがっくり落とし、まだ玄関に立ち尽くしていた。


すまん、弟よ。

姉ちゃん、君のお土産を買う以上に、大事な役目を果たしてきたのさ。


決して解ってもらえないだろう言い訳を、心の中で唱え、一応弟の背中に、頭を下げる。


その後、そっと階段を昇り始めた。

そう言えば、宮殿の壁にあった地下牢への近道。

長い階段を昇る事が、本当に辛かったっけ。

思い出しながら、そんな事もあったなぁって、今は笑える。


あっという間に昇り終わった階段を左に曲がって、すぐの扉が、私の部屋。

あ~あ。

この扉を開けたら、とてつもなく大きな廊下が……