頭がボーッとするせいか、ジャラールさんに言われるまま、連れて行かれる。

廊下を歩く時も、こっちにふらふら、あっちにふらふら。

「おい、クレハ。大丈夫か?」

ハーキムさんも心配して、私の腕を掴む。

「だいひょうふ、だいひょうふ……」

半分寝ぼけている私を見て、ハーキムさんが、首を横に振る。

「よし。クレハ、俺が肩に抱えてやる。」

ハーキムさんが、中腰になった。

「いい、いい。」

「遠慮するな。」

手招きしているハーキムさんを見ていると、私を荷物と間違ってるんじゃないかと思う。


「ははは。ハーキム。それじゃあ、クレハだっておいそれと、行けないだろう。」

そう言ったジャラールさんは、私の横に立つと、軽く私を抱き抱えた。

こ、これは!

いつぞややってもらった、お姫様抱っこ!!


「ハーキム。女性は、こうして運ぶものだ。」

「はあ。」

頭をポリポリ掻いているハーキムさんを他所に、ジャラールさんは、廊下を進む。