月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

「それよりも、怪我はなかったか?ネシャート。」

「え、ええ。」

「よかった。今回は近くにいて守れなかった。申し訳ない。」

「そんなこと……」

ネシャートさんが、頭を左右に振る。


もう、私の立ち入る隙間なんて、ここにないじゃん。

私は気づかれないように、ため息をついた。


しばらくして、王様がジャラールさんとネシャートさんに、近づいてきた。

慌てて離れる二人。

王様の前では、二人は兄妹なのだ。


「お怪我はございませんでしたか?父上。」

「ああ、大丈夫だ。」

そう言う王様の頬には、新しい刀傷があった。

「あ、あの……頬から血が……」

私が手を伸ばすと、王様は自分の手の平で、その傷をゴシゴシ擦り始めた。

「大した傷ではない。このような傷、戦ではしょっちゅうだ。」


そうは言っても、バイ菌入るよ。

そんな適当に治療したら。

そう思っていたら、ネシャートさんの侍女の一人が、救急箱を持って来てくれた。