月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

「うぬぬぬ……」

ザーヒルは、力なく膝を床についた。

「ザーヒル。そなたの母上と、我が父アミン王のお気持ちを、今一度考えてみるのだな。」

王様がそこまで言うと、護衛達が座っているザーヒルを連れて行った。


「決着はついた。これで罪人判定は終了する。」

王様の一言で、人々は大広間から出て行った。

残ったのは私と、ハーキムさん。

そしてジャラールさんと、ネシャートさんと王様のみ。


「ジャラールさん。」

私が傷心のジャラールさんを、励まさそうとした時だ。

私の目の前を、誰かが通り過ぎた。

誰かが?

ううん。その香りですぐに分かった。

ネシャートさんだった。

「ジャラール。」

ネシャートさんは、ジャラールさんの手を握った後、そのまま抱き寄せた。

「気にする必要はありません。誰がなんと言おうとも、あたなは私たちと同じ王族の者です。」

「ネシャート……」

ジャラールさんは、ネシャートさんの背中に手を回したけれど、彼女を抱き締める事なく、その腕を下ろした。