「しかしいつ見ても、クレハは暑そうだ。」

「いや、ホントに暑いかも。」

太陽の直射日光が、こんなにも暑いなんて。

日本ではそんな事、思ったことはなかった。

汗が吹き出して、顎から汗が滴り落ちる。


「これを羽織れ。」

ジャラールさんは、懐からショールを取りだし、私に放り投げた。

「これを?」

それは薄いピンク色のショールだった。

明らかに女性物だった。

「またジャラール様は、そのような大事な物を。」

ジャラールさんの行動に、もう呆れ果てたのか、ハーキムさんはため息をつくだけに変わった。

そんなハーキムさんを、笑って見守るジャラールさん。


二人の関係は、なんだか不思議だ。

主従関係だとは思うが、時より兄弟にも見えるし、親友同士にも見える。


「折角なんでお借りしますね。ありがとうございます。」

とにかく日射しを遮りたい私は、ショールを頭の上から羽織った。