月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

「静かにしろ。我が王の御前だぞ。」

ザーヒルが、また睨みをきかせる。

「しかし!このままでは、私の娘が……」

「黙れ!この死に損ないが!!」

急に刀を抜いたザーヒルは、ラナーのお父さんに切りかかった。

「お父さん、危ない!」

ラナーの声にお父さんは、間一髪後ろへ下がった。

「あなた、大丈夫?」

「お父さん!」

駆けつけたラナーとお母さんが、お父さんを心配する。

「ああ、大丈夫だ。」

そう言ったお父さんの腕からは、刀に切りつけられ、血が流れていた。


「いけない。」

ハーキムさんが急いで、布で腕の傷を覆う。

「早く手当てをして頂きましょう。」

「私は大丈夫です。それよりも、娘の無罪を……」

そう言っている間にも、布からは血が滲み出している。

「お父さん……」

「ラナー、わしはお前を信じている。お前は、頑固なところはあるが、決して人に背を向けるような事は、しない人間だ。」