月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

護衛の一人が、私を迎えに来た。

「行かないわ。」

私は護衛に差し伸べられた手を、振り払う。

「じゃあ、ネシャートさんの事はどうなるの?」

「クレハ。ここは一旦引け。」

ハーキムさんが、私を後ろから止める。

「証人は残酷にも命を奪われ、ネシャートさんを殺そうとした張本人は、証拠不十分で何もお咎めなし?」

「はっ!何をバカな。ネシャート王女を殺そうとした張本人は、侍女のラナーだ。」

「違う!ラナーは、あなたにそう仕向けられたのよ!両親を人質に取られ、見返りにハーキムさんと、結婚させてやるって言われて!」

ハーキムさんが、ラナーを見る。

「ラナー、本当なのか?」

尋ねられたラナーは、唇は噛み締めた。

側にいたネシャートさんは、しばらくして顔を両手で、覆いつくした。

「ラナー。あなたの気持ちは、知っていました。だからこそザーヒルからハーキムとの婚姻の話があった際は、心から祝福し、結婚を薦めたのです。まさか、ザーヒルからの脅しがあったなんて……」