月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

「申し訳ありませぬ、我が君。知らなかったとは言え、このザーヒルの手下だと名乗る者が、王子達に無礼を働くとは。面目次第もありません。」

辺りはシーンと静まり返り、ザーヒルの刀を鞘に納める微かな音だけが、大広間に鳴り響く。

護衛達が、切られた黒づくめの男達を、大広間から引きずって行くと、私は力が抜けたように、その場に膝を付いた。

「クレハ。」

ハーキムさんがすぐ、支えてくれたけれど、体に力が入らない。


「なんで?……どうして!!」

私は大声で、ザーヒルに向かって叫んだ。

「この人達は、あなたの命令に従っただけでしょう!」

「何を言う。私はそのような命令は、しておらぬ。」

「じゃあ、この人達が勝手にやったって言うの!」

「そう言う事だ!部下が勝手にやった事は、上の者が罰を与えねばならぬ!」

「だからって、命まで……命まで奪っていいって言うの!?」

「うるさい客人だ。おい、客人を丁重に部屋までお通ししろ。」