月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

「ならばラナー。その怒りはこの私に向ければよい。さあ!」

ラナーの前に、剣が転がった。

目の前に立つジャラールさんを、ラナーは睨む。

けれど何かが違う。

その目は、私もジャラールさんも恨んではいない。

「ラナー。本当に……」

ラナーの息が上がる。

「私の事を愛しているのか?本当にそれが、ネシャートを襲った理由か?」


ラナーをよく見ると、頬に涙が伝っている。

泣いているの?ラナー。

「私は……」

そう言って、ラナーが剣に手をかけた時だ。


「お待ち下さい!」

どこからか男の人の声が、こだまする。

「ラナーは罪人ではありません!脅されていただけです!」

その声と一緒に入って来たのは、ハーキムさんだった。

「ハーキムさん!」

寄る場所があるって言っていたのに。


「我が王よ!」

ハーキムさんは、王様の前で膝まずいた。

「突然の謁見、お許しください。どうしても罪のない者が命を奪われる事を避けたくて、ここに参りました。」