月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

「……いつまでここに?」

「分からん。なぜ連れて来られたのも分からないのに、いつまでいるかなんて、分かるわけないじゃろう。」

私はこの老夫婦が、憐れに思えた。

おばあさんなんて、ボーッとしながら前だけを見ている。

「食事はちゃんと出るんですか?」

その問いには、おじいさんが答えた。

「一日2食出る。年寄りには調度の量じゃよ。」

そう言うけれど、老夫婦は痩せ細っているように見えた。


おばあさん、可哀想に。

じーっと見つめていたら、おばあさんと目があった。

おばあさんの目の色が変わる。

スイッチが入ったように、急に動き始める。

「ラナー……」

「えっ?」

今、確かにラナーと言った?


「ラナー。よく来てくれたね。」

「ばあさん。」

見かねたおじいさんが、おばあさんを止める。

「じいさんもご覧なさいよ。私達の娘が来たよ。」

「ばあさん。この娘はラナーじゃない。」