月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

しばらく歩き回った時だ。

どこからか、小石が私の足元に投げ込まれた。

飛んできた方向を見ると、歳をとった老人がいた。


「見ない顔だ。新しい番人か?」

「いえ。私は番人じゃあ、ありません。」

初めて会った汚いおじいさんに、私は素直に答えていた。

「では何しにここへ?」

「友人を助けに。」

「無理じゃ。ここにはあまり人がおらんじゃろ。罪が認められるとすぐ殺されるのじゃ。」

背中に悪寒が走った。

人が少ないのは、犯罪が少ないんじゃなくて、すぐ殺されるから?


「おじいさんは、罪人なの?」

「いや。ただここに入れられとるだけじゃ。」

罪人じゃないのに?

ハーキムさんみたいなケースなのかな。


「いつ出られるの?」

「さあ。出られるのか、殺されるのかも分からぬ。」

目を凝らすと、奥にはおばあさんもいる。

「奥さんもいるの?」

「ああ。2人で連れて来られた。」