月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

あのザーヒルが?

いい人なの?あの人。

「その代わり……」

「その代わり?」

そこまで話して、ラナーは口を塞いでしまった。

「ラナー?」

「いいの!忘れて。」

ラナーは涙を拭いている。

「ねえ、ここまで話したんだから、なぜネシャートさんの命を狙ったのか、教えて貰えないかな。」

「話しはここまでよ。理由なんて、話せるものですか!!」

「どうして?ネシャートさんに恨みがあったの?ネシャートさんを殺せば、ラナーに何か得があるの?」

「うるさい。」

そしてラナーはまた、黙ってしまった。


はあ。

どうしよう。

ここにずっといても、眠くなって最悪あっちの世界に帰ってしまうかもしれないし。

仕方ない。

歩き回るか。


「ラナー。また戻って来るね。」

私はラナーにそう告げて、彼女の元を離れた。

しばらく地下牢の中を歩く。

牢屋と言っても、あまり人がいない。

この国は、犯罪率が低いのかな。