月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

「クレハ。もう戻って休め。続きは俺が明日牢屋を出てからだ。」

「は~い。」

私は右手を高く上げた。

「おやすみ、クレハ。」

なぜかハーキムさんの顔が近づいてくる。

「無理。」

上げた右手でハーキムさんの顔を押さえる。

「えっ?」

「私は、ハーレムの一員になるつもりはありません。」

「なんだ。残念。俺はクレハを気に入っているのに。」

「ご冗談を。」

私は、右手を離すと階段の方へ向かった。

「冗談ではない。」

ハーキムさんは、鉄格子を介して、私の右手を握った。

「そなたはジャラール様を好いているから手は出さなかったが、もしそうでなければ、第5番目の妻として……」

「はい。気持ちだけ受け取っておきます。」

右手を離すと、ハーキムさんからはため息が聞こえてきた。

ったく。

どこまで女好きなのよ。


とは言え、まだ寝る事もできず、私はハーキムさんの目を盗みラナーの元へ走った。