月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

「だがザーヒルが、俺の妻にと言ったのだ。ネシャート様も、それを承諾した。」

「はあ。あの悪人チックな人が?」

するとハーキムさんは、私をじーっと見た。

「クレハ。言葉を慎め。あの方は現王の側近中の側近だぞ。」

「ハハハ……すみません。」

笑って誤魔化したけど、あのおっさん。

そんなに偉いんだ。


「ラナーは見ているのだ。ジャラール様とネシャート様の純粋な愛を。いくらジャラール様が女を作っても、それは所詮形の上だけで、真のお心はネシャート様にある事を。」

ちょっと形の上でって……

私、ジャラールさんに口説かれた事、あるんですけど‼


「だからこそ、ラナーを正妃に迎える事にしたのだ。他の女性とはまだ結婚もしておらず、子供も作っていない。」

「その女性達とは、ラナーと結婚するまで、別れられないの?」

そうよ。

そうすれば、ラナーにハーキムさんの誠実さが分かるはず。

「無理だ。」

「どうして?」