月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~

「ラナー。ネシャートさんやハーキムさんは、あなたが裏切るような人ではないと信じているの。」

ラナーは固まったように、動かない。

「お願い、ラナー。どうしてそんな事をしたのか、理由を教えて。きっとそうしなければならなかった訳があるんでしょう?」

ラナーの指がほんの少しだけ動く。

「ハーキムさんに言えないのなら、私でもいい。ラナー、あなたを救いたいの。」

ラナーは、ゆっくりとこっちを向いてくれた。


「ラナー!」

「偽善者。」

「えっ?」

「私の事も、ハーキム様の事も、この国の事も何も分からないくせに。」

ラナーは、怖い顔で私を睨んでいる。


ハーキムさんの言う通り、私じゃあラナーの心を開けなかった。

私が泣きそうになった時、ハーキムさんが私の腕を掴んだ。

「番人が来る。」

「ウソ!!」

「ラナー、また来る。」

それだけを残して、ハーキムさんは私を連れ、走り出した。