「ハーキムさんのいる場所に通じてるの。」

「はあ……」

ジャラールさんをその扉の奥に押し込んで、中から扉を閉める。

「今からこの階段を降りますよ。付いて来て下さい。」

そう言って、私は勢いよく階段を駆け降りる。

「付いて来て下さい……ね。」


まさかさっき降りた階段を、また降りるなんて。

それこそ、何の運命のイタズラなんだろうか。


「ところでジャラールさんは、なぜハーキムさんを裏切り者だって疑ったんですか?」

「裏切り者?」

私は一旦、足を止める。

「……ジャラールさんを疑っているから、牢屋に入れたんですよね?」

「ああ……」

ジャラールさんは、顔をポリっと一掻きする。

「まあ、直に分かるよ。」

「はあ……」

呑気に答えたジャラールさんに、初めて一抹の不安を感じる。


犯人だと疑っているのに、作戦会議?

益々二人が分からなくなってきた。