「えっ?」

『だからもうよいのです。これからは、私の為ではなく自分達の国を大事にして下さいと……』

そう言うと、その女性はだんだん、オアシスの中に沈んでいく。


「待って‼だとしたら、宝石のペンダントは!?」

『必要ありません。それがなくても皆の心は、一つにまとまる事ができるでしょう。』

女性は更に沈んでいく。

「ネシャートさんは‼ペンダントがないと、彼女は‼」

私は有りたっけの力を振り絞って、手を伸ばす。

『あの者が病に伏せっている理由は、他にあります。』

「えっ!」

『彼女の回りにあるはずです。』

そう言って、その女性は消えてしまった。

「…………そんな、私に言われても。」

そして、足元に手を付いた時だ。


何かが、砂に埋もれている。

掘り起こしてみると、それはジャラールさん達が持っていったはずのペンダントが。


『伝えて下さい。』

私は涙を流しながら、そのペンダントを手に取った。