ドキッとする。

この風景、あの"碧のオアシス"に似ているから。


「ここから登るんだよ。」

そこには階段があって、光清の後に続いて、登り始めた。

少しずつ、湖面が遠ざかっていく。

金閣寺の側面も見えてきた。

そこだけが、別世界。

昔の人もそれを望んで、金閣寺を建てたのかな。


「紅葉。どう?」

「うん。綺麗だよ。連れて来てくれて有難う。」


やがて金閣寺の裏側が、目に飛び込んできた。

「ええ!全然印象が違う。」

「でしょう?驚いた?」

日差しが金閣寺に当たって、キラキラ光っている。

「眩しい……」

右手で顔を覆った時だ。


左下に沼の中で動く物を、見つけた。

魚?

だけどそれが、こっちを向いた時、背中がゾッとした。



人……

長い髪の女性が、沼の中から私を見ている。


「きゃああ!」

怖くて両手で顔を覆う。

「紅葉!」

光清が私の肩を掴んでくれた。