光清に激しく揺らされる中、急にそれが止まった。

「光清、私に任せて。」

ときわが止めてくれた。

「私なら紅葉も話せるかもしれないし。」

すると光清が私から離れ、部屋を出ていく音がした。


「さあて紅葉。光清、いなくなったよ。話してごらん。」

それでも私は、だったらと話せる気分にはならなかった。

「なあに気にしてんの?」

ときわは、いつもと同じように話しかけてくる。

「私は、紅葉の言った事、全部信じるよ。」

その一言が、私の固くなった心を解きほぐす。

「……嘘だとか、妄想だと思わない?」

「当たり前じゃん。だって実際、紅葉が見て経験してきたことでしょ?」

私はその言葉で、やっと起き上がる事ができた。


「ワオ!ひどい顔。相当な経験だね。」

私は少しだけ微笑んだ。

「じゃあ、最初から話して。」

「最初から?」

「うん。なんでそんな貴重な経験が、紅葉の身に起こるようになったのか。」