「私、盗んでなんかいない‼」

「ではなぜクレハが、それを持っているのだ!」

ジャラールさんは、初めて見るくらいに、取り乱していた。

「会社の資料室で拾ったんです!」

「嘘だ!本来なら、湖の中の宮殿にあるはずのモノ。ただの人間が、手に入るものではない!」

ジャラールさんは、私達に背中を向けた。

「本当です!信じて下さい!」


必死のお願いも虚しく、ジャラールさんはそのまま、横になってしまった。

「明日、湖に潜ってこれを妖精に見せてくる。」

「ジャラールさん……」

「だがクレハ。これがもし本物だとしたら、私は君を捕らえなければならない。」

「えっ?」


捕らえる?

ジャラールさんに!?

びっくりし過ぎて、体が震えてきた。


「ジャラール様、申し訳ありません。この宝石を持っていたのは、この私です。」

何を思ったのか、ハーキムさんは膝をついてとんでもないことを言い出した。